ゆずはら置き場/パノラマ観光公社

作家・ゆずはらとしゆきのお仕事報告ブログです。

5月の終わりにガガガ文庫創刊10周年

「ところで最近何してんの?」という件ですが、小説じゃない仕事をしておりますよ。特に名前が出るような大きな仕事でもないので、いまいち告知しづらいのですが。
まァ、とりあえず生きてはいます。
ぼくの死を望んでいる方々は残念でした。


そんなわけで、小説の仕事は開店休業中ですが、8月くらいから小説じゃない仕事がぽつぽつ発表されるようです。

合間にやっていた暇つぶしのほうは相変わらず飽きっぽくて続いていないので報告しません。
気がついたら、そんなに暇でもなくなっておりますが。

なお、開店休業中なのは、とりあえずごはんを食べることのほうが先なので、ときどき依頼される小説じゃない仕事を優先しているからです。

小説を書かなくても、作家の仕事はいろいろあります。

本当は読みたいものがとんと出てこなくなったから自分で書かないといけないんだけども、出てこないということは需要もないということなので、頭の中で書いておけば世に出さなくてもいいや、と思っております。
ぼくも霞を喰って生きていけるほど、徳が高いわけじゃないので。

あと、小説のネタを考えていると、過去のトラウマが発動してしまうのですよ。そりゃもういろいろと。

 

そういえば、小学館ガガガ文庫創刊10周年だそうで。

一応、おめでとうございます、と言ったほうがいいのかな……?

いや、2011年以降、接点がなくなっているので、最近はレーベルがどうなっているのかまったく知らないのですよ。*1

なお、ぼくの『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』は、創刊第2弾のラインナップでしたので、6月19日で10周年ということになるんですね。

十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)

十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)

 

まァ、ライトノベルが完全にひとつのジャンルとして独立した2017年の目から見ると跳訳という企画はまったく意味が分からんでしょうし、それでなくてもレーベル初期のラインナップはだいたい黒歴史になってしまったのですが、ようやくそのへんもすべてKindle化されたようです。*2

Kindle版は617円が615円になっていて、2円だけ安いのが不思議です。

あと、2015年の『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』と繋がっていたりします。 

ようは同じ世界観の話で、ポールとかが客演しているんですが、手元に両方ある珍しいひとだけ、こっそりほくそ笑んでくださいませ。

元々『火葬国風景』『十八時の音楽浴』を繋げるために『空想東京百景』シリーズのガジェットを使っていたのですが、逆輸入する形になったのですね。

 

後にも先にも、ライトノベルの文庫レーベルで書いたのは『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』一冊だけなので、ぼくにとっては感慨深い作品です。*3

……ていうか、よく、ぼくをレーベル創刊のラインナップに入れようと思ったよなァ。*4

『空想東京百景』1巻が出たのが翌2008年なので、それより前のまだ「何者でもない」頃ですよ。

講談社ファウストでは『空想東京百景』シリーズを少し書いていましたけど、それだけで。*5

 

本当は、奇を衒っていない普通のライトノベルも書ければ良かったんですけど、企画を進めていた最中に過労で倒れてしまって書けなかったんですよね。復帰したら担当さんが辞めていて。*6

まァ、そのあたりの栄枯盛衰の話になると、また過去のトラウマが発動してしまうので、そろそろこのへんで。

*1:創刊当時の編集さんがほとんど全員入れ替わったのがこの頃だったのです。最後に関わったのはささみさん@がんばらない7巻のTRPGネタ用に、日日日さんや内山靖二郎さんとプレイしたクトゥルフ神話TRPGセッションでした。

*2:著作権保持期間が終了した、昭和の大衆娯楽小説をライトノベルにするという。元々は佐藤大さんの企画で、『脳Rギュル』が先に出るはずだったのですが、制作スケジュールの都合でぼくのほうが先になりました。

*3:文庫レーベル、ということでしたら、ハヤカワ文庫JAから出た『咎人の星』もありますが。

*4:レーベル初期のラインナップには、原田宇陀児さん、J・さいろーさんなど、90年代の古い友人知人もいて、ちょっとした同窓会状態でした。

*5:『空想東京百景』1巻と『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』はちょうど同時進行で書いていたのです。

*6:創刊当時の編集さんは、ファミ通文庫から移籍された具志堅さん以外は、青年誌IKKIからの出向だったり、早川書房S-Fマガジン太田出版Quick Japanの出身だったりで、良くも悪くもライトノベルっぽくない=少年誌っぽくない企画が多かったので、2009年頃から編集方針の見直しが行われ、作家陣と編集部員を大幅に入れ替えたのですね。

珍しく3月の東京から近況報告

3月ですが、今年は珍しく東京におります。花粉症に耐えつつ。*1

フリーランスを長いこと続けていると世間とズレていくので、暇があるうちにいろいろ見ておこうかと自主的に社会科見学しておったのですが、やー、さすがにいろいろ見すぎてお腹いっぱいになりました。いい社会勉強になったですが。

かくして、最近は暇を持て余したり、急に忙しくなったりしていますが、このブログは「作家・ゆずはらとしゆきのお仕事報告ブログです。」ということにしているので、作家の仕事をしていないと、どうも書きづらいのですな。

というか、自作解説エッセイ習作のアーカイヴといったテキストが、仕事の報告とごっちゃになると、非常に読みづらいのです。文体からして違いますし。

「ゆずはら置き場」と銘打っておりますが、ブログはそういう用途にはあんまり向いてなかったなァ、と。
かといって、htmlの手打ちには戻れないというか、もう忘れてしまったですよ。

ちょうど、過去のテキスト作業ファイルをさすがにアウトラインエディタ対応にしようと思い立って、あくせく整理していたので、タグ分類だけでなく、ツリー構造で表示できないものかなァ、とかなんとか。

なので、友人の仕事を手伝ったついでに、あちこちのwebサービスを眺めております。

www.pixiv.net

p.booklog.jp

そういえば、昔、日日日さんたちとやっていたリレー小説『六人目の魔女だよ』は、いまもPixivパブーに置いておりますが*2、Pixivのほうはいつの間にか縦書きビューアーが実装されていたので、これはいいなァ、と思いました。

でも、Pixivは基本的にイラストレーター向けのサービスなので、やっぱり小説家向けのサービスと使い分けたほうがいいんかな、とか思ったり。

なんにしても、使ってみないと使い勝手も分からないので、今のところはアカウントを取って少し使って、みたいな感じですが、典型的な「新しもの好きで飽きっぽい」で、続かないと格好悪いので、ある程度続くようでしたら、このブログで報告いたしますー。

*1:過去のブログを見ると分かると思いますが、3月は花粉症がきついので、沖縄や北海道へ高飛びして、貧乏バックパッカーをやっておりました。

*2:名目上「パノラマ観光公社」になっていますが、この小説はもともと日日日さん企画の預かり物です。念のため。

『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』発売2周年です

yuz4.hateblo.jp

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……というわけで『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』発売2周年ですよ。

まさかこの怒涛の連続刊行から2年、ぼんやり開店休業状態になるとは思わなかったですが。

いや、昨年まで仕事はしていたのですが、現状、その作品もお蔵入り状態になっていまして、今年は何もしていないのです。

『空想東京百景』シリーズは、2001年の連載開始から、2008年に単行本1巻、2015年に2巻3巻漫画版と、7年おきのペースなので、次は2022年かな、と冗談で言っていたんですが、この調子だと本当にそんな感じになりそうです。

それ以前に、『空想東京百景』以外の仕事もしないといかんのですが、小説以外の企画編集やライター仕事も歓迎ですよ。*1

yuz4.hateblo.jp

過去の仕事はだいたいこんな感じ*2ですね。

ブランクが空きすぎて営業活動の伝手が思いつかないので、ぼくからは動いていないのですが、気軽にご相談いただけば。基本的には暇ですので。

……ということで、いつもの近況報告と宣伝(?)でした*3が、あとは思い出した余談をいくつか。

読むと分かると思いますが、蓬莱樹一郎が主人公『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』は、90年代から00年代初頭くらいまで、暇さえあれば名画座やフィルムセンターに入り浸って古いプログラムピクチャーな映画ばかり観ていたら、こういうものを書いてしまいました、という感じの話でして。

鈴木清順監督の『殺しの烙印』、野村孝監督の『拳銃は俺のパスポート』大和屋竺監督の『荒野のダッチワイフ』などに加えて、他にも思い浮かんだものを手当たり次第に鍋へ放り込んで煮込んだら、タクアンやセミの抜け殻もプカプカ浮かんでいる濃厚なジャイアンシチューになってしまったというか。

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たとえば、これ*4とか。

殺し屋ランキングにしても、元を辿ればギャビン・ライアル『深夜プラス1』ですが、いろいろ混ぜた結果、なんかもう書いた本人もよくわからん代物になってますな。


なので、鈴木清順監督の逝去とか大和屋竺監督作品のDVD化とか、いろいろと感慨深いものがあります。『毛の生えた拳銃』DVD化って。

youtu.be

なお、〈V2〉〈V3〉の原型になった『空想東京百景 試作品少女』は、えろーす小説として発注されたので、『荒野のダッチワイフ』寄りというか、早い話がアンブローズ・ビアス『アウルクリーク橋の出来事』ジェイコブズ・ラダーなんですけども、ぼくの技量不足で後半がぐちゃぐちゃだったので、イチから書き直したら〈V2〉〈V3〉になった……という経緯です。

なんでライトノベルを書くのに、そんな珍妙なものばかり参照するんだよ、と言われると、まったくもって平謝りするしかないのですが。

読者としては普通のライトノベル読者のはず*5なんですが、書く側に回るとこうなってしまうのがぼくの悪い癖です杉下右京風に)

*1:というか、小説は趣味の領域へ戻りつつあります。書き残しているテーマの多くは、商業を意識した小説では書くことが許されない思考や感情なので。

*2:忘れている仕事もあるはずなので、思い出したら、ときどき修正します。

*3:本当にいつも同じことしか書いてないですが、特に変わったこともないので、しょうがないのです。

*4:この本は昨年、原田さんからお借りしたので、執筆時点ではうろ覚えでしたが。

*5:暇なので、本棚からいくつかセレクトしようかと思ったら、凡庸すぎて諦めたほどの平凡な読書傾向でした。