早川書房創立70周年記念キャンペーン&『ハヤカワ文庫SF総解説2000』
表に出る仕事がまったくないのに、年末進行でバタバタしておりますが、早川書房創立70周年記念キャンペーンとのことで、『咎人の星』電子書籍版が半額になっておりますよ。
もちろん、Amazon以外のストアも半額(400円とか370円とか)です。12/3まで。
小川麻衣子さんのイラストもすべて収録されておりますよ。
それはそれとして。『咎人の星』は、賢しらな本読み様がエロ小説と小馬鹿にしているか、SFマニアが嫌そうに語るか、どちらかの反応しか見たことがないのですが、そのたびにすごく不愉快になっております。
元がえろーすな漫画の原作だったからしょうがないか、とは思うのですが、わざわざ早川書房で小説として書き直している時点で、ゆずはらさんの意図はかなり別のところ、むしろポルノグラフィとは正反対なところにあるのですよ。
野暮なので語らないですけど。担当さんもぼくも。*1
えろーす方面を離れた『漆黒のアネット』以降の小説は、ゆずはらさん的にはどれも極めて真面目に書いておるのですよ。ヘンなものを書いているという自覚はあるので、早川書房のパーティーへ行くたびに謝っておりますが。
そんなわけで、正直、『空想東京百景』シリーズ以外の長編小説はもうわざわざ書かなくてもいいような気がしております。
実際、書く機会もないので、小説以外の仕事をやっておりますが、それでも「やっぱり小説で復讐するべきじゃないのか?」という電波は受信するのですよ。一日一回くらいは。
だからと言って、そのためにわざわざ長編小説を書くというのも、どうだろうなァ……と思いますし、そもそも「誰に」「何を」復讐するのだ?
早川書房からもうひとつ。
『ハヤカワ文庫SF総解説2000』に「S-Fマガジン」の特集「ハヤカワ文庫SF総解説」で書いたレビューが収録されております。
- トマス・M・ディッシュ『人類皆殺し』
- J・G・バラード『ハイ-ライズ』
- ルーディ・ラッカー『ソフトウェア』『ウェットウェア』『フリーウェア』
- カート・ヴォネガット・ジュニア『チャンピオンたちの朝食』
- カート・ヴォネガット『ガラパゴスの箱舟』
- ロバート・J・ソウヤー『ターミナル・エクスペリメント』
以上、サツバツとしたSF小説ばかり6作品をレビューしておりますが、単行本化にあたって、すべて少し書き直しております。些細なことですが。
かくして、2015年内に発表できる仕事はザッツオーフィニッシュです。
2016年は新作小説を発表する機会があるのかなァ。
ていうか、何を書くか考えないとなァ。
ご無沙汰しております/近況報告
えーと、ご無沙汰しております。
人間ドックの結果、しばらく病院通いとなりまして、ゆるゆる暮らしておりましたが、ようやく体力ゲージが回復してきたので、ぼちぼち仕事に復帰しております。
で、仕事の近況ですが。
『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』のあとがきで「次のシリーズ新作は講談社BOX以外のレーベルで出ますよ」と書いていましたが、行方はいまのところ宙に浮いております。
7年ぶりのシリーズ〈本格始動〉だったんですが、また小休止になってしまってすいません。
もともと、複数の出版社や雑誌で書いていたシリーズなので、別のレーベルへ移っても問題ありませんが、気がついたら浦島太郎というか講談社BOX以外のレーベルとの接点がなくなっていたのですなァ。
はて、どうしたものか。
理由はタイガの創刊に伴う既存コンテンツの整理というか、暖簾分けから5年経ったので、すっかり傍流になった講談社BOX、懐かしの「ファウスト」色は一掃するよ、という、よくある人事です。
ブログやTwitterを見ていたら、BOX-Airの若手作家や『四方世界の王』定金先生にも通告されたようなので、そろそろ書いても良い頃合いかと。
もっとも、暖簾分けされたほうの作家もいつの間にか消えていたので、「そもそも、あの時代は本当にあったのだろうか?」と首を捻っておりまする。
2002年に青山ブックセンターの文学フリマで『タンデムローターの方法論』を買ったら、3年間行方不明だった友人の小野寺くんも行列に並んでいたんですが、それから13年間、小野寺くんは再び行方不明のままなので、「もしかして、16年前に小野寺くんは故郷へ帰っていて、ぼくは存在しない偽の記憶を植え付けられて13年間を過ごしてきたんじゃないのか?」とか思ったり。
あと、『漆黒のアネット』『空想東京百景』『雲形の三角定規』『咎人の星』『空想東京百景〈V2〉』『空想東京百景〈V3〉』と、8年間でまともな長編小説を6冊書いたんですけど、その8年間に積み重なった徒労感がちょっと限界に達しておりまして。
なので、短編や小説以外の雑文を書いたり、いくつか企画ものを手伝ったりで、気力ゲージの回復を待っております。
次が『空想東京百景』シリーズ新作になるのか、別の長編小説になるのかは分からないですが。
後者に関しては、ジャンル小説の界隈で書きたいことはすべて書いたですが、ジャンル小説の界隈では存在しない透明人間なので、「これから何を書いたところで、何かあるのか?」と思っておりまして。
存在しない小説を書いても徒労しか残らないので。
何にしても、文章を書く仕事──作家は続けますよ。
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「ハヤカワ文庫SF総解説」とかいろいろ
小説は開店休業しておりますが、ちまちまと雑文は書いております。
現在発売中の「S-Fマガジン」2015年8月号の特集「ハヤカワ文庫SF総解説 PART 3」ですが、カート・ヴォネガット『ガラパゴスの箱舟』、ロバート・J・ソウヤー『ターミナル・エクスペリメント』を担当いたしました。
- 作者: カートヴォネガット,Kurt Vonnegut,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/10
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- 作者: ロバート・J.ソウヤー,Robert J. Sawyer,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/05
- メディア: 文庫
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ちなみに、ハヤカワ文庫JAから出した『咎人の星』という小説は、「SFが読みたい!」の作品リストだと、ファンタジー扱いになっているんですが、何故か3回連続で「ハヤカワ文庫SF総解説」を書いておりました。
「S-Fマガジン」2015年4月号の「ハヤカワ文庫SF総解説 PART 1」では、トマス・M・ディッシュ『人類皆殺し』、J・G・バラード『ハイ-ライズ』。
- 作者: カート,Jr.ヴォネガット,カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
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「S-Fマガジン」2015年6月号の「ハヤカワ文庫SF総解説 PART 2」では、ルーディ・ラッカー『ソフトウェア』『ウェットウェア』『フリーウェア』、カート・ヴォネガット・ジュニア『チャンピオンたちの朝食』をそれぞれ担当しております。
あと、8月21日発売の「海外SFハンドブック」に、ずいぶん前に書いたエッセイ「世界の終わりを啜って育った子供(の顛末)」が収録されるそうです。確か「S-Fマガジン」2013年9月号の特集で書いたエッセイ。
今年はもう、小説の新作予定はないので、しばらくはこんな感じで雑文を書いていると思うですよ。