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ゆずはら置き場/パノラマ観光公社

作家・ゆずはらとしゆきのお仕事報告ブログです。

2016年の大晦日に振り返るアレ

近況報告 与太話

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講談社BOX:空想東京百景|講談社BOX|講談社BOOK倶楽部

2016年の大晦日ですので、たまに思い出して書く、毎度おなじみ『空想東京百景』シリーズの現況ですが、今年は見事にまったく動きがなかったですね。

早い話、BOX編集部が文三に再吸収されて消滅し、講談社さん以外も人事異動とかあれやこれやで、小説レーベルとの繋がり自体が綺麗さっぱりなくなっているので、企画やプロットを渡す相手もいないのですね。
よって、今のところは新作発表の予定もありません。すいません。

 

まァ、(結果的に)七年に一度のペースになっている『空想東京百景』シリーズですが、2022年より前に新作が出るならそれに越したことはないので、別の仕事をしつつ日曜大工的に書いてはじっくり寝かせているこの頃です。

toi8さんのイラストヨーヨーラランデーズさんのデザインまで含めての『空想東京百景』ですし、まとめて読まないと訳がわからないと思うので。

ちなみに、講談社BOXのレーベル自体は、タイガ向きではない非ミステリ系案件用に残したようですが、あくまでタイガがメインで、予備レーベルの位置づけっぽいので、ぼくや日日日さんや2015年までのBOX作家陣がこれからBOXで出す可能性は低そうです。
まァ、講談社BOX文三黒歴史なので。

BOX出身でも新本格系ミステリでしたらタイガで出ますけど、『空想東京百景』新本格ではないので以下略。*1
 

machikiji.jp

それはそれとして、結果的に2016年唯一の小説仕事となった、見るからに不思議の謎すぎる企画『町で見かけた奇人たちの運命』のほうは、10月くらいからサイト更新が滞っているようですが、原因は担当さんと日日日さんの多忙のようです。
日日日さんが多忙なのは仕様ですけど。

ぼくとSOWさんと森崎さんが担当したエピソードの原稿は、無事に書き上がっておりますので、来春くらいから更新再開するんじゃないかな、と……。*2
 

「結果的に」と書いたのは、昨年から今年にかけて、いくつか関わっていた他の企画がすべて、流れたり降ろされたりお蔵入りになったりしたからです。
降ろされた企画に至っては、没プロットの一部がそのまま使われているようで、冷たい頭にカチンと来たので、没プロットで眼鏡痴女モノのえろ小説でも書いてやろうかと思ったり。
タイタニック』→『パイパニック』、『バックドラフト』→『ファックドラフト』みたいなノリで。びた一文払われていないので守秘義務もないですし。
結局、途中で馬鹿馬鹿しくなったので放置しておりますが。

 

そんなこんなで、作家を辞める気はありませんが、このまま固執していても埒が明かないな、というのが正直なところでして。
もともと企画編集の仕事をしながら作家をやっておりますが、来年はもっと別の仕事をしているかも知れませんね。*3

まァ、何はともあれ、2017年もよろしくお願いいたします。

 

twitter.com

Twitterのほうでは、適当な与太話やら電子書籍版のセール情報やら垂れ流しておりますが、もし運良く新作を発表できましたら、そのときは買って読んでいただければ幸いです。

そして、小説の感想や仕事のご相談などありましたら、以下のメールアドレスへよろしくです。

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*1:なので、2022年まで講談社BOXが残っていて、しれっと新刊が出たよ、なんてことになったら、そのときは笑ってください。

*2:もともと代打からスタメン入りした仕事なので、詳しいことは知らないのですけど。

*3:最近は兼業作家でも十分やっていける量しか書いていない。

『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』電子書籍版配信開始

与太話 新刊のお知らせ

ガガガ文庫は有名タイトル以外、過去へ遡行していく形で電子書籍化していたので、長いこと本文イラスト入りの電子書籍版がなかった*1『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』ですが、ようやく電子書籍化されますよ。

csbs.shogakukan.co.jp

偶然、発見したので、特に出版社から連絡はないのですが、18日から配信開始のようです。

ついでに、内容紹介と当時の思い出話を少々。

『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』は、昭和で戦前の名作娯楽小説をトリビュートというか、ライトノベルとして脚色した跳訳」シリーズ第一弾ですが、世界観や登場人物が『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』と地続きになっている、なんともアマルガムな小説です。
ある意味、『空想東京百景』シリーズの外伝と言えるかも知れません。

空想東京百景<V2>殺し屋たちの休暇 (講談社BOX)空想東京百景<V3>殺し屋たちの墓標 (講談社BOX)

2007年にレーベル創刊第二弾で刊行された小説でしたので、もう9年経っているんですが、なんでそんなおかしなコンセプトのシリーズを当時のガガガ文庫が出したのかというと、元々、レーベル創刊を企画したのはIKKI江上英樹編集長*2で、ファウストみたいなものを作りたかったらしいのですね。*3

なので、副編集長も当時のIKKI副編集長が出向されていて、佐藤大さんが出した跳訳」シリーズという斜め上なネタも創刊記念企画として通ってしまった*4ので、誰か書けるひとはいないか、ということで、それまで縁もゆかりもなかったぼくがいきなり呼ばれたわけです。

創刊前夜はデザイナーやイラストレーターも足りなかったので、デザイナーさんはぼくのほうから『空想東京百景』シリーズヨーヨーラランデーズさんにお願いいたしました。

そしてレトロフューチャーな作品なので、ロシア構成主義風というか、ムーンライダーズ『マニア・マニエラ』T.E.N.Tレーベル版の奥村靫正みたいな感じでお願いします」という無茶ぶり極まりないデザイン発注をやらかした*5のですが、いただいたデザインはさすがでした。

マニア・マニエラf:id:yuz4:20070527135225j:plain

イラストレーターの宮の坂まりさんも、期待通りの素晴らしいイラストでした。今は別名義で乙女向けな漫画家さんをやっておられます。

で、いきなりの無茶な企画ものの話に乗ったのは、レーベルの編集方針がファウスト』のライトノベルというコンセプトで、母体となったIKKI青年漫画誌でしたので、暴力描写や性描写も青年漫画誌基準で書いていいよ、ということが決め手でした。

2010年以降、文庫系で担当さんが付いているのが、青年漫画誌基準というかもっとマニアックなハヤカワ文庫JAだけですので、現在、そのあたりがどうなっているのかは知らないんですが、文庫系のライトノベルは基本的に少年漫画誌基準ですので、あんまり無茶なことはできなかったのです。
当たり前と言えば、当たり前のことなんですが、実際、それでいくつか文庫系のライトノベルレーベルでの企画が流れていたのですね。

とはいえ、担当さんが同じだった深見真さん*6は、もっとエロス&バイオレンスな『武林クロスロード』『ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック』というドえらいものを書いていたので、ぼくはまだまだ甘いなァ、と思っておりました。 

 

ところが、創刊から一年ちょっと経ったあたりで社内でいろいろあったのか、レーベルの管轄がIKKIから週刊少年サンデーに移りまして、少年漫画誌基準になりました。
結果、
ぼくはさておき、深見さんも書かなくなったので、やっぱり人類には早すぎる小説だったのかなァ、と。*7
単にその前後で担当さんが辞めたからってのもありますけど。

ちなみに、ぼくは小学館の漫画だと、今は亡きヤングサンデーに連載されていた『殺し屋1』が大好きなんですが、年末のパーティーの二次会で、酔っ払っていた部長さんにそのあたりの話をしていたら、「君の小説、面白いけど、小難しいんだよ」「もっとぼくが手がけた『名探偵コナン』みたいな小説を書きなさい」「(逆ギレしながら)ゆうきまさみくんは天才なんだよ!」という説教をいただきまして一触即発になりかけたのも、いまとなっては実に良い思い出です。

何はともあれ……というか、自分で言うのも何ですが、編集方針が変わる前の黒歴史っぽい案件だった『漆黒のアネット』までKindle化されたということは、 ガガガ文庫の既刊は創刊時まで遡って、すべて完全版の電子書籍で入手できるようになったのかな?

だとしたら、それはめでたいことです。
小説を書かなくなっても書店で見なくなっても、入手できるというのは、作家にとっては有り難いことですから。

ぼくの小説に関しては、『空想東京百景』シリーズ『咎人の星』が既に電子書籍化されておりますので、あと『雲形の三角定規』電子書籍化されますと、初期の習作を除くゆずはらとしゆき全作品が電子書籍化されるのですが、いつになるのかなァ。

*1:宮の坂まりさんのイラストが入っていない廉価版(?)はあったんですが。

*2:元『ビッグコミックスピリッツ』の名物編集にして、元『IKKI』名物編集長。『ピンポン THE ANIMATION』で世界の果てまで自分探しに行っていたあの江上さんです。

*3:当時、「いきなり江上さんが話を聞きに来たんだよ」と、『ファウスト』の太田(克史)さんが言っておりました。

*4:この時点でかなり正気の沙汰ではない。

*5:もっとも、『空想東京百景』シリーズのときも、似たり寄ったりの無茶ぶり発注ばかりしているので、本当に申し訳ありません。

*6:担当さんは同じでしたが、直接の面識はないです。

*7:副編集長も『IKKI』に戻られて、いまは『ヒバナ』編集長になっています。