ゆずはら置き場/パノラマ観光公社

作家・ゆずはらとしゆきのお仕事報告ブログです。

ComicREX創刊140号記念キャンペーン

講談社のKindle1万点セールに続いて、一迅社ComicREX創刊140号記念、ということで、『空想東京百景〈異聞〉Strange Report』『平安残酷物語』漫画版全2巻を含めた電子書籍が、半額やポイント50%還元になっているようです。 

 

平安残酷物語: 1 (REXコミックス)

平安残酷物語: 1 (REXコミックス)

 

 

平安残酷物語: 2 (REXコミックス)

平安残酷物語: 2 (REXコミックス)

 

ComicREXでは、来月号(9月号)から真西さんのオリジナル新連載も始まるとのことですので、未読な方はこの機会に『平安残酷物語』コミカライズ版もよろしくですー。

 

 

ぼくの方は、前にも書いたように、小説が開店休業中ですので、代わりに「小説の仕事ではないけど、作家の仕事ではある」仕事をやっております。
本文だけ投げて、タイトルなどは先方さんが決めるのですが、特にクレジットが出るわけでもない仕事なので、そのあたりは気にしません。*1

そういえば、昔、何かの機会に作家さんたちが集まったときに「(小説では)作品タイトルもイラストレーターさんも自分で決めている」と言ったら、ある売れっ子作家さんにえらく驚かれたことがありました。
「なんとなく絵柄の要望を出したことはあるけど、イラストレーターを自分で決めたことがない」
と言われたので、こちらも驚いたのですが。

まァ、ぼくは自分で台割を作ったりもしていますので、かなり特殊な例ではあると思います。
それでも、デザイナーさんの決定権は半々ですし、イラストレーターさんは担当さんの推薦から決めることもあります。*2

そもそも、『空想東京百景』シリーズtoi8さんで何か作れ」という編集さんの無茶振り依頼で、ポートレートを見ながら第一期のプロットを作っていたので、作品作りにはいろんなパターンがあるのです。
個人的には、絵柄から逆算して考えていくので、イラストレーターさんが先にありきで決まっていたほうが、作品のイメージは作りやすいですね。*3

ちなみに、一番すごかったのは、駆け出しの頃のゲームシナリオ仕事でして、シナリオを納品して発売された商品のパッケージを見たら、登場人物の名前が全員変更されておりました。
さすがに、これはびっくりしましたが、ゲームシナリオはぼくの著作ではないので、まァ、そんなものかな、と。

あと、代わりの「小説の仕事ではないけど、作家の仕事ではある」仕事でも「技巧的な文章は読者が理解できない」と言われまして、ライトノベルで言われていたことと同じだったので、ああ、何処でも同じなんだなァ、と思いました。
対象読者層は高学歴なひとが多いらしいんですが、だからと言って技巧的な文章が評価されるのかというと、そういうことでもなく、むしろ小説や漫画を読む習慣がない読者層なので、シニカルな比喩とかはまったく理解できない、のだそうです。

そう考えると、00年代前半のライトノベルは、えらくハイレベルなことが許されていたんだなァ、と懐かしくなってきました。
単にジャンルのアイデンティティが確立される前の過渡期で、他のジャンルの権威へ乗っかる必要があったので、デタラメも渋々ながら許容されていた、とも言いますが。

でも、編集さんが「技巧的な文章は読者が理解できない」とか言い出すようになると、そのジャンルには惰性が忍び寄るのですよ。
惰性でやっているほうが実は儲かる、というのも事実ですけど。

*1:そういう仕事は昔からよくやっております。ゲームシナリオとかも、大半は無署名でやっていましたので。

*2:デザイナーさんを自分で選べる場合は、ヨーヨーラランデーズさんやデコネコの小石川ふにさんに頼んでおります。

*3:『空想東京百景』第一期や『ペンデルトーンズ』のあと、小池一夫劇画村塾(小池塾)で漫画原作者の勉強もしておりました。もっとも、ネーム原作の時代になったので、脚本原作の技術はライトノベルで活かされることになりましたが。

2017年初夏の近況と50%ポイント還元セール

毎年恒例(?)、講談社のKindle1万点セールが始まりましたので、ついでにぼくの近況も取りまとめておきます。


まず、講談社のKindle1万点セールですが『空想東京百景』シリーズ既刊3冊と、ぼくが企画編集した日日日×千葉サドルシリーズ4冊50%ポイント還元になっておりますー。6/8まで。

Amazon.co.jp: ゆずはらとしゆき - 講談社の書籍・雑誌 1万点 最大50%ポイント還元セール(6/8まで): Kindleストア

Amazon.co.jp: 日日日 - 日日日 / 講談社の書籍・雑誌 1万点 最大50%ポイント還元セール(6/8まで): Kindleストア

元が高い単行本なので、ポイント還元されると、かなりお安くなるのではないかと。
あと、紙の単行本は元々、あんまり出回ってないですので。


その『空想東京百景』シリーズですが、現在、講談社BOXから2008年刊の『空想東京百景』と、2015年刊の『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』の本編3冊と、一迅社REXコミックスからtoi8さんの漫画版『空想東京百景〈異聞〉Strange Report』が出ております。*1*2

講談社BOX:空想東京百景|講談社BOX|講談社BOOK倶楽部

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なお、シリーズ本編の続刊の行方は不明ですが、七年に一度の2022年までには。
どっかで。
なんとか。

あと、現在、小説レーベルには担当さんがいない(いてもほとんど連絡取っていない)ので、もし仕事のご相談とか連絡事項とかありましたら、Gmailのメルアドからよろしくです。

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ゆずはらとしゆきさんのプロフィール - はてな

*1:〈異聞〉はtoi8さんのオリジナルストーリーです。ぼくは脚色と企画編集を担当しておりますよ。

*2:二見書房から出ていた〈V2〉プロトタイプの『試作品少女』はたぶん絶版です。

5月の終わりにガガガ文庫創刊10周年

「ところで最近何してんの?」という件ですが、小説じゃない仕事をしておりますよ。特に名前が出るような大きな仕事でもないので、いまいち告知しづらいのですが。
まァ、とりあえず生きてはいます。
ぼくの死を望んでいる方々は残念でした。


そんなわけで、小説の仕事は開店休業中ですが、8月くらいから小説じゃない仕事がぽつぽつ発表されるようです。

合間にやっていた暇つぶしのほうは相変わらず飽きっぽくて続いていないので報告しません。
気がついたら、そんなに暇でもなくなっておりますが。

なお、開店休業中なのは、とりあえずごはんを食べることのほうが先なので、ときどき依頼される小説じゃない仕事を優先しているからです。

小説を書かなくても、作家の仕事はいろいろあります。

本当は読みたいものがとんと出てこなくなったから自分で書かないといけないんだけども、出てこないということは需要もないということなので、頭の中で書いておけば世に出さなくてもいいや、と思っております。
ぼくも霞を喰って生きていけるほど、徳が高いわけじゃないので。

あと、小説のネタを考えていると、過去のトラウマが発動してしまうのですよ。そりゃもういろいろと。

 

そういえば、小学館ガガガ文庫創刊10周年だそうで。

一応、おめでとうございます、と言ったほうがいいのかな……?

いや、2011年以降、接点がなくなっているので、最近はレーベルがどうなっているのかまったく知らないのですよ。*1

なお、ぼくの『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』は、創刊第2弾のラインナップでしたので、6月19日で10周年ということになるんですね。

十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)

十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)

 

まァ、ライトノベルが完全にひとつのジャンルとして独立した2017年の目から見ると跳訳という企画はまったく意味が分からんでしょうし、それでなくてもレーベル初期のラインナップはだいたい黒歴史になってしまったのですが、ようやくそのへんもすべてKindle化されたようです。*2

Kindle版は617円が615円になっていて、2円だけ安いのが不思議です。

あと、2015年の『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』と繋がっていたりします。 

ようは同じ世界観の話で、ポールとかが客演しているんですが、手元に両方ある珍しいひとだけ、こっそりほくそ笑んでくださいませ。

元々『火葬国風景』『十八時の音楽浴』を繋げるために『空想東京百景』シリーズのガジェットを使っていたのですが、逆輸入する形になったのですね。

 

後にも先にも、ライトノベルの文庫レーベルで書いたのは『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』一冊だけなので、ぼくにとっては感慨深い作品です。*3

……ていうか、よく、ぼくをレーベル創刊のラインナップに入れようと思ったよなァ。*4

『空想東京百景』1巻が出たのが翌2008年なので、それより前のまだ「何者でもない」頃ですよ。

講談社ファウストでは『空想東京百景』シリーズを少し書いていましたけど、それだけで。*5

 

本当は、奇を衒っていない普通のライトノベルも書ければ良かったんですけど、企画を進めていた最中に過労で倒れてしまって書けなかったんですよね。復帰したら担当さんが辞めていて。*6

まァ、そのあたりの栄枯盛衰の話になると、また過去のトラウマが発動してしまうので、そろそろこのへんで。

*1:創刊当時の編集さんがほとんど全員入れ替わったのがこの頃だったのです。最後に関わったのはささみさん@がんばらない7巻のTRPGネタ用に、日日日さんや内山靖二郎さんとプレイしたクトゥルフ神話TRPGセッションでした。

*2:著作権保持期間が終了した、昭和の大衆娯楽小説をライトノベルにするという。元々は佐藤大さんの企画で、『脳Rギュル』が先に出るはずだったのですが、制作スケジュールの都合でぼくのほうが先になりました。

*3:文庫レーベル、ということでしたら、ハヤカワ文庫JAから出た『咎人の星』もありますが。

*4:レーベル初期のラインナップには、原田宇陀児さん、J・さいろーさんなど、90年代の古い友人知人もいて、ちょっとした同窓会状態でした。

*5:『空想東京百景』1巻と『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』はちょうど同時進行で書いていたのです。

*6:創刊当時の編集さんは、ファミ通文庫から移籍された具志堅さん以外は、青年誌IKKIからの出向だったり、早川書房S-Fマガジン太田出版Quick Japanの出身だったりで、良くも悪くもライトノベルっぽくない=少年誌っぽくない企画が多かったので、2009年頃から編集方針の見直しが行われ、作家陣と編集部員を大幅に入れ替えたのですね。